はじめに
2025年6月17日をもって、メルカリの「出品中に自動で価格を調整する」機能、通称「自動100円値下げ」機能が終了します。
この機能は、出品者があらかじめ設定した最低価格まで、毎日100円ずつ自動的に値下げしてくれる便利なツールでした。
たとえば、販売価格を5,000円、最低販売価格を3,000円に設定していた場合、出品から1日ごとに100円ずつ価格が下がり、最終的に3,000円まで達するとそこで自動調整がストップする仕組みです。
多くの出品者にとっては「放っておいても売れるように仕掛けられる」ツールとして重宝されていました。
そんな便利な機能が終了することで、出品者の販売戦略や出品後の対応方法に大きな変化が求められることになります。
「出品したら放置」では売れにくくなる場面が増えるかもしれません。
この記事では、まずこの自動値下げ機能の仕組みと役割を改めて確認し、その終了が出品者にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。
そして、機能終了後にどのような対策を講じればよいのか、具体的な実践方法もご紹介します。
メルカリでの売上を維持・向上させるために、今回の変更をきっかけとして出品スタイルを見直してみましょう。
メルカリの自動100円値下げ機能の仕組みと役割
「出品中に自動で価格を調整する」機能は、メルカリにおける販売活動を“自動化”するための強力なツールでした。
出品者が販売価格と最低販売価格を設定するだけで、毎日100円ずつ価格が下がっていき、購入意欲を高める演出効果を生み出していました。
価格調整の具体的な流れ
たとえば、販売価格5,000円、最低販売価格3,000円に設定した場合、以下のような流れで価格が下がっていきます。
- 出品1日目：5,000円（初期設定価格）
- 出品2日目：4,900円（自動で100円値下げ）
- 出品3日目：4,800円
- ・・・
- 出品N日目：3,000円（最低価格に到達、以降は値下げ停止）
このように、ユーザーの設定した最低価格まで毎日100円単位で下がり続けるのが特徴です。
購入者側からすると、「この商品、昨日より安くなってる」「もう少し待てばさらに安くなるかも」と思わせる心理的な効果を生むことができ、商品ページへのアクセスや購入率を高める仕掛けになっていました。
自動値下げのメリット
この機能には、出品者にとって以下のようなメリットがありました。
- 出品後に放置しても販売チャンスを継続できる
- 定期的な再出品や価格見直しの手間を省ける
- 値下げによる価格競争に自動で対応可能
- 「新着順表示」から外れても価格面で注目を集めやすい
さらに、一定期間売れ残っていた商品も、価格が下がることで「お得感」を演出し、埋もれていた出品に再注目を集める効果もありました。
購入者側の行動にも影響
この機能は、購入者の購買心理にも影響を与えていました。
たとえばウォッチリストに入れた商品が日を追うごとに安くなっていくのを見て、「今日買わないと他の人に取られるかもしれない」と焦り、購入を早める行動を促すケースもあります。
つまり、自動値下げは「売れるきっかけを増やす」だけでなく、「買わせるタイミングをコントロールする」役割も担っていたのです。
このように、自動100円値下げ機能は販売促進の強力な補助装置でしたが、2025年6月17日をもって提供が終了となります。
次章では、この機能の終了によって出品者にどのような変化が起こるのか、具体的に見ていきましょう。
自動値下げ機能の終了で出品者に起きる変化
2025年6月17日以降、「出品中に自動で価格を調整する」機能が廃止されることで、メルカリ出品者の販売戦略には明確な変化が生じます。
これまで自動で行っていた価格の見直し作業を、今後はすべて自分自身で判断・操作しなければならない時代に入るのです。
「放置しても売れる」が通用しなくなる
これまでは、自動値下げ機能を設定しておけば、出品後に放置していても価格が下がることで注目度が高まり、最終的に売れる可能性がありました。
しかしこの自動性が失われることで、出品したまま放置しているとユーザーの目に触れる機会が減り、売れ残る可能性が高くなります。
とくに出品数が多いユーザーや、副業・店舗運営型の出品者にとっては、大きな作業負荷の増加につながります。
手動での価格調整が不可欠に
今後は価格の調整を手動で行う必要があるため、以下のような対応が求められるようになります。
- 定期的に価格を見直し、100円単位で調整
- 同カテゴリ内の競合商品と価格を比較しながら設定
- 価格変更によるアクティブ度アップ（検索順位への影響）を意識
このように、売れない商品の価格調整は“意図的に行う戦略行為”になっていきます。
商品が「値下げされたこと」が伝わりにくくなる
自動値下げ機能では、ユーザーへの通知は行われなかったものの、価格が下がっていく様子はウォッチしていた購入者にとって十分な「購買刺激」になっていました。
しかし、今後は手動値下げをしてもタイミングや方法によっては購入者に気づかれない可能性が高まります。注目を集めるには、
- 値下げ後すぐに再出品
- 商品説明に「〇月〇日に値下げしました」と記載
- SNSや外部でのシェアなど能動的な発信
といった工夫も必要になってくるでしょう。
出品者間の「価格競争」がより激化する可能性も
これまでは、価格調整機能の存在によって一定の“売れやすさの平準化”がありましたが、そのバランスが崩れることで、
- 常に価格調整をしているユーザーが目立つ
- 値下げをしない商品が埋もれていく
- 同一商品での価格の差が拡大し、購入者の選別が進む
といった状況が起こりやすくなります。
このため、「放っておいても勝手に安くなって売れる」といった自動販売的な感覚は、完全に通用しなくなる可能性が高いといえるでしょう。
次章では、なぜメルカリがこの便利な機能を終了するのか、その背景や意図について掘り下げて解説します。
なぜメルカリは自動値下げ機能を終了するのか
出品者にとって非常に便利だった自動値下げ機能。なぜメルカリはあえてこの機能の提供を終了するのでしょうか。
その理由は公式には明言されていませんが、機能の性質や近年の出品動向、プラットフォーム戦略からいくつかの理由が読み取れます。
システム面の維持・運用コストの問題
まず考えられるのが、システム負荷や保守管理のコストです。
自動で価格を調整するということは、24時間単位で膨大な数の出品データに対し価格変更を反映させ続ける必要があります。
メルカリでは常時1,000万件以上の出品があり、その中の一定割合が自動値下げ機能を利用していたとすれば、サーバー側にかかる負荷は非常に大きいものだったと推察されます。
また、機能の提供にともなう動作不具合やユーザー対応の手間なども、システム全体のパフォーマンスと運営効率に影響を及ぼしていた可能性があります。
ユーザー行動との乖離
次に考えられるのは、機能の使われ方が本来の意図と乖離していた可能性です。
本来、自動値下げは「売れやすくする補助機能」として設計されていましたが、実際には「とりあえず価格を高く設定して自動で下げていく」という使い方をする出品者も増えていたと考えられます。
こうした使い方は、価格変動の透明性を欠いたり、購入者側に混乱を与える要因となり、メルカリの価格信頼性を下げてしまう懸念があったかもしれません。
販売戦略の“自動化”から“自律化”へ
近年のメルカリは、「売れる仕組みを自分で作るユーザー」に向けた施策を強化してきました。
たとえば、写真の質や商品説明、発送スピード、評価といった要素が検索順位に反映されやすくなってきており、“能動的な出品者”を重視する流れがあります。
その文脈において、自動値下げは“受け身の売り方”に依存しがちな機能だったともいえます。
こうした機能を整理し、自ら工夫する出品者がより評価されやすい環境にシフトしようとしているのかもしれません。
機能に対する誤解やクレームの防止
実際、自動値下げ機能にはユーザー間でさまざまな誤解もありました。たとえば、
- 値下げされたことが通知されないため、気づかないまま売れる
- 最低価格を下回って販売されたと思い込む
- 他の出品と価格差が生じ、混乱する
など、ユーザーサポートの現場で混乱を招く要因となっていた可能性も否定できません。
こうした点から、メルカリはよりシンプルで誤解のない売買環境を目指し、今回の機能廃止に踏み切ったと考えられます。
次章では、自動値下げ機能の終了を受けて、出品者がこれから取るべき5つの対策を具体的に紹介していきます。
自動値下げ終了後に出品者ができる5つの対策
「出品中に自動で価格を調整する」機能の終了により、メルカリ出品者は今後、より積極的かつ戦略的な売り方が求められます。
ただ落とし込んで出品するだけでは売れにくくなり、工夫次第で売上が大きく変わる時代へと移行していきます。
ここでは、機能終了後も安定して売上を確保するための具体的な対策を5つご紹介します。
1. 価格の見直しを定期的にルーティン化する
自動での価格調整が行われなくなるため、自分で定期的に価格を見直すルーチンを作ることが重要です。
おすすめは、「出品から2日目・5日目・7日目」といった目安のスケジュールをカレンダーに登録しておくこと。
100円ずつ手動で値下げするだけでも、再び注目を集めることができます。
また、価格を変更すると検索表示の優先順位が上がる可能性もあり、定期的な価格変更はアルゴリズム的にも有利に働くとされています。
2. 商品説明と写真での「価値訴求」を強化する
価格だけに頼らない売り方へとシフトするためには、「なぜその価格なのか」が伝わる商品説明と写真が必須です。
- 状態の良さ、購入時期、定価との比較
- サイズ感や素材感が分かる写真
- 使用感やお得感を伝えるキャッチコピー
これらをしっかり記載することで、同価格帯の商品よりも高くても“納得して買ってもらえる”出品を実現できます。
3. ウォッチリスト活用と値下げタイミングの戦略化
ウォッチリスト（いいね！）が複数入っている商品に対しては、戦略的に手動値下げを行うタイミングが重要です。
たとえば、金曜夜〜土曜午前中などのユーザーが活発な時間帯に合わせて100円下げると、通知が届いて即購入につながるケースが増えます。
また、「〇月〇日に値下げしました」と商品説明欄に追記すれば、変化に気づいてもらいやすくなります。
4. 競合出品を定期的にチェックする習慣をつける
同一カテゴリ・同一商品での価格競争が激化することが予想されるため、ライバルの価格動向を把握することも重要な対策です。
- 自分の商品が高すぎないか
- 他の出品と比べて魅力的か
- 値下げのペースやタイミングを学ぶ
こうした競合分析を通じて、自分の商品が選ばれる理由を客観的に見直すことができます。
5. 再出品・再構成による“新鮮な印象”の演出
商品が売れ残っている場合は、一定期間ごとに出品を取り下げ、再出品するのも効果的です。
新規出品扱いになることで検索順位が上がり、再び注目されやすくなります。
再出品時にはタイトルや説明文の一部を変更して、新しい印象を持たせる工夫も有効です。
また、売れなかった原因が写真や価格にある場合は、再出品前に改善点を明確にして再構成することで、売れ残りリスクを回避できます。
これらの対策を実践することで、機能終了後も安定した売上を維持することが可能になります。
次章では、メルカリ出品に求められる新たな考え方と今後の方向性について解説します。
今後のメルカリ出品に求められる考え方
メルカリの自動100円値下げ機能が終了することは、単なる一機能の廃止ではなく、「売るための姿勢」が大きく問われる転換期であるとも言えます。
これまで“価格の自動調整”に頼っていた出品者は、これからはより能動的な売り方を身につけていく必要があります。
価格依存から「価値の提案」へ
これまでの自動値下げ機能は、価格を下げることで購買意欲を刺激する“短期的アプローチ”に強みがありました。
しかし、これからは単なる「安さ」よりも、その商品がなぜその価格で価値があるのかを伝える力がより重要になります。
具体的には、
- 商品の状態・使用履歴を丁寧に記載する
- なぜこの価格が妥当なのかの根拠を説明する
- 他商品と比較してのメリットを明示する
といった「情報の質」で差をつけることが、成約率を高めるポイントとなります。
“売れる仕掛け”は自分で作る時代へ
メルカリでは今後、「自動で売れる仕組み」ではなく、「売れる仕掛けを自分で作れる人」が成果を上げていく傾向が強まっていくでしょう。
そのためには、
- 写真の撮り方を研究する
- キーワードやタイトルの工夫を磨く
- 購入者目線での商品説明を書く
- 季節やトレンドを意識して出品タイミングを調整する
といったように、販売戦略の全体設計を自分で意識的に構築していく必要があります。
データに基づいた判断が差をつける
また、これからは「感覚」ではなく「データ」に基づいた出品活動が成果を左右します。
- 検索されやすいワードやカテゴリを選ぶ
- 過去に売れた類似商品の価格帯を分析する
- 出品後の閲覧数やいいね数の推移をチェックする
といった数値データを活用しながらPDCA（計画・実行・検証・改善）を回すことで、継続的に売れる仕組みを自分自身で構築することができます。
効率化だけでなく「顧客視点」を忘れない
さらに重要なのは、ただ“売る”だけでなく、「買ってよかった」と思ってもらう取引体験の提供です。
評価が取引を左右するメルカリでは、発送の速さや丁寧な梱包、迅速なメッセージ対応といった細かな配慮が、リピーターや高評価につながります。
これまでのような自動値下げによる受け身の販売から、顧客との信頼関係を意識した販売スタイルへと、意識をシフトしていくことが重要です。
まとめ
メルカリの「出品中に自動で価格を調整する」機能、通称「自動100円値下げ」が2025年6月17日をもって終了することにより、多くの出品者にとって大きな節目が訪れようとしています。
この機能は、出品後に毎日100円ずつ価格が下がっていくことで、購入者の購買意欲を刺激し、売上につなげる便利な仕掛けでした。
しかし、それが使えなくなることで、「放っておけば売れる」という考え方は通用しなくなり、出品者が自ら工夫と戦略をもって販売活動を行う必要性が高まります。
本記事では以下のポイントを解説してきました：
- 自動値下げ機能の仕組みとその役割
- 機能終了によって起きる具体的な変化と不便
- メルカリ側がこの機能を終了した背景
- 出品者が取るべき5つの対策
- これから求められる出品者としての新しい考え方
価格に頼る売り方から、価値を伝える売り方へ。
受け身の出品から、“自分で売る”意識のある出品者へ。
この変化は、一見不便に感じるかもしれませんが、見方を変えれば「他の出品者との差をつけやすくなるチャンス」でもあります。
戦略的に出品を組み立て、写真や説明文、価格設定に意図を込めることで、むしろ売れやすくなる可能性も十分にあるのです。
今後もメルカリの仕様やアルゴリズムは変化していきます。大切なのは、そうした変化を恐れるのではなく、情報を素早くキャッチし、自分の出品スタイルに反映していく柔軟性です。
「自動100円値下げ」機能が終了する2025年6月17日以降も、売れる出品者であるために、今このタイミングで一歩先の準備を始めましょう。
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