失業保険(雇用保険)は、2024年の法改正をきっかけに、2025年から2028年にかけて段階的に変わっています。「自己都合で辞めると2か月もらえない」「60歳以降は15%上乗せ」など、少し前の情報のままだと、退職の計画を立て間違えることがあります。
この記事では、いつ・何が変わったのかを年表で整理し、転職や退職を考えている人に関係する変更をまとめます。退職前に自分の状況で何を確認すればいいかは、退職前に失業給付を確認しないと怖い理由を読んでください。
※2026年9月時点で、厚生労働省の資料(令和6年雇用保険制度改正の施行期日一覧など)を確認して書いています。実際に受け取れるかどうか・金額は、ハローワークで確認してください。
年表:失業保険・雇用保険はいつ何が変わった?
| 時期 | 変わったこと |
|---|---|
| 2024年5月17日 | 改正雇用保険法が公布。育児休業給付の国の負担を、暫定の1/80から本来の1/8へ戻す |
| 2024年10月1日 | 教育訓練給付金の給付率を引き上げ(受講費用の最大70%→最大80%) |
| 2025年1月20日 | 離職票をマイナポータルで受け取れるように(条件あり) |
| 2025年4月1日 | 自己都合で辞めた人の給付制限を原則2か月→1か月に。教育訓練を受けた場合は給付制限なし 就業手当を廃止、就業促進定着手当の上限を引き下げ 高年齢雇用継続給付の給付率を最大15%→10%に 「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」がスタート 雇用保険料率(一般の事業)1.55%→1.45% |
| 2025年10月1日 | 「教育訓練休暇給付金」がスタート |
| 2026年4月1日 | 雇用保険料率(一般の事業)1.45%→1.35% |
| 2026年8月1日 | 基本手当日額(1日あたりの失業給付)の上限額・下限額を改定 |
| 2027年3月末 | 雇止めで辞めた人の給付日数の特例、地域延長給付などの暫定措置の期限(2026年度末まで延長されている) |
| 2028年10月1日 | 雇用保険に入れる人を広げる(週の所定労働時間「20時間以上」→「10時間以上」) |
退職を考えている人に関係する変更
1. 自己都合退職の給付制限が1か月に(2025年4月〜)
自己都合で辞めた場合、ハローワークで手続きをして7日間の待期期間が終わったあと、さらに基本手当が出ない「給付制限」の期間があります。
| ケース | 給付制限 |
|---|---|
| 自己都合で辞めた(原則) | 1か月(2025年3月までは2か月) |
| 5年間で3回以上、自己都合で辞めている | 3か月 |
| 離職日前1年以内や離職期間中に、教育訓練給付の対象となる講座などを自分で受けた | 給付制限なし |
7日間の待期期間は、退職理由にかかわらず全員にあります。
2. 早く再就職したときの手当(2025年4月〜)
- 再就職手当:変更なし。所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就いた場合、支給残日数の60%(3分の2以上残っていれば70%)× 基本手当日額を一時金で受け取れる
- 就業手当:廃止(安定した職業以外に就いた場合の手当)
- 就業促進定着手当:再就職後の賃金が下がった人への手当。上限が支給残日数の40%(再就職手当で70%を受け取った場合は30%)から、20%に引き下げ
3. 学び直しの支援
- 教育訓練給付金(2024年10月〜):受講費用に対する給付率の上限が70%から80%に
- 教育訓練休暇給付金(2025年10月〜):会社を辞めずに、就業規則などに基づく30日以上の無給の教育訓練休暇をとった人に、基本手当と同じ額を支給。雇用保険の加入期間が5年以上あることなどが条件で、給付日数は加入期間に応じて90日・120日・150日
- 教育訓練支援給付金:専門実践教育訓練を受ける45歳未満の離職者への給付。基本手当の80%から60%に引き下げたうえで、2026年度末まで延長
4. 1日あたりの金額(基本手当日額)の上限・下限(2026年8月〜)
基本手当日額の上限額と下限額は、毎年8月1日に見直されます。2026年8月1日からの金額は次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 上限額(2025年8月〜) | 上限額(2026年8月〜) |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 | 7,830円 |
| 下限額(全年齢) | 2,411円 | 2,562円 |
実際の金額は、離職前6か月の賃金などから計算されます。上限額はあくまで「これ以上は出ない」という金額です。
子育て・60歳以降に関係する変更(2025年4月〜)
- 出生後休業支援給付:子の出生直後の一定期間に、夫婦ともに14日以上の育児休業をとった場合(配偶者が働いていない場合などは本人だけでも可)、最大28日間、休業前賃金の13%を上乗せ。育児休業給付と合わせて80%(手取りでおおむね10割)になる
- 育児時短就業給付:2歳未満の子を育てるために時短勤務をしている人に、時短勤務中の賃金の10%を支給
- 高年齢雇用継続給付:60歳以降に賃金が下がった人への給付。給付率の上限が15%から10%に(2025年4月1日以降に60歳になった人から)
雇用保険料率の推移(一般の事業)
| 年度 | 合計 | 労働者の負担 | 事業主の負担 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 1.55% | 0.6% | 0.95% |
| 2025年度 | 1.45% | 0.55% | 0.9% |
| 2026年度 | 1.35% | 0.5% | 0.85% |
育児休業給付の分の保険料率は、2025年度から本来の率が0.5%になりましたが、財政の状況に応じて0.4%に下げられる仕組みも入りました。
これから:2028年10月に雇用保険の対象が広がる
2028年10月1日から、雇用保険に入る条件が「週20時間以上」から「週10時間以上」働く人に広がります。週2〜3日のパートやアルバイトでも、条件を満たせば雇用保険に入り、失業給付などの対象になります。そのぶん、保険料も給与から引かれるようになります。
手続きで使える変更:離職票をマイナポータルで受け取れる
2025年1月20日から、離職票をマイナポータルで受け取れるようになりました。会社から郵送されるのを待たずに手続きを進められます。ただし、マイナンバーと雇用保険の被保険者番号がひも付いていること、マイナポータルと雇用保険WEBサービスを連携していること、会社が電子申請で離職の手続きをしていることが条件です。
「給付金が増える」とうたうサポートに注意
国民生活センターは2025年12月3日、「失業保険の給付額等を増やすことができる」とうたう申請サポートについて注意を呼びかけました。給付はハローワークの審査で決まるもので、受け取れることが保証されるわけではありません。事実と違う申請をすると、不正受給として申請した本人が責任を問われます。→ 失業保険の申請サポートを使う前に知っておくこと
まとめ
- 2025年4月から、自己都合退職の給付制限は原則1か月。教育訓練を受けていれば給付制限なし
- 就業手当は廃止、就業促進定着手当は上限20%に。再就職手当は変わらない
- 2025年10月から、会社を辞めずに学び直すための教育訓練休暇給付金がある
- 基本手当日額の上限・下限は毎年8月に変わる。2026年度の保険料率は1.35%
- 2028年10月から、週10時間以上働く人も雇用保険の対象に
退職後にもらえるお金の全体像は会社を辞めたらもらえるお金の種類と申請方法、退職代行を使う場合は退職代行の選び方も参考にしてください。



