1. 会社を辞めたらもらえるお金とは?基本的な概要
会社を辞めた後には、さまざまな公的制度や会社からの支給金を受け取る権利があります。
これらの制度は、退職後の生活を支えるだけでなく、再就職や新たなキャリアをスムーズに進めるための大切な支援となります。
もらえるお金の主な種類
- 失業保険(失業給付金)
離職後、次の職場が見つかるまでの間の生活費を支援するための制度です。
自己都合退職でも条件を満たせば受給可能です。 - 退職金
勤続年数や会社の規定に基づき支給される一時金で、退職理由にかかわらず支給される場合が多いです。 - 就職促進給付金
再就職した際に支給される手当で、早期就職を促進する目的があります。 - 求職者支援制度
職業訓練を受けながら生活費を支援してもらえる制度で、月額10万円が支給される場合があります。 - 住居確保給付金
家賃相当額を支給し、住居を確保するための支援です。 - 傷病手当金
病気やケガで働けない場合に支給される手当です。
制度を活用するための注意点
これらのお金を受け取るには、それぞれ条件や手続きが異なります。特に、申請期限を守ることが重要です。
失業保険や住居確保給付金は、申請を遅らせると受け取れない可能性があるため、早めの準備が必要です。
退職後の経済的な不安を軽減するためにも、事前に自分が利用できる制度を確認し、適切に活用することが大切です。
次の章では、具体的な制度の詳細と申請方法について解説します。
2. 失業保険(失業給付金)の受給条件と手続き
失業保険(失業給付金)は、会社を辞めた後の生活を支えるための代表的な制度です。
再就職までの生活費を補助する目的で支給され、多くの人が利用できる制度です。
以下で、受給条件や手続きについて詳しく解説します。
失業保険を受給できる条件
- 雇用保険に加入していた期間があること
退職前の2年間で通算12か月以上雇用保険に加入している必要があります。- 会社都合退職の場合は、6か月以上の加入で受給資格を得られます。
- 自己都合退職では、12か月以上の加入が必要です。
- 失業の状態にあること
離職後、働く意思と能力があり、積極的に就職活動を行っていることが条件です。
受給額と支給期間
- 基本手当日額は、退職前の給与を基に算出され、平均的な月給の50〜80%程度が目安となります。
- 支給期間は、年齢や勤続年数、退職理由によって異なります。
自己都合退職では90〜150日、会社都合退職では90〜330日が一般的です。
申請の手続き方法
- 必要書類を準備
以下の書類を揃え、ハローワークで申請します。- 雇用保険被保険者証
- 離職票(会社から受け取る)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 印鑑
- 通帳またはキャッシュカード
- ハローワークで申請手続き
最寄りのハローワークで手続きを行い、受給資格の認定を受けます。
この際、失業の状態にあることを証明するため、求職活動の計画を提出します。 - 7日間の待期期間
自己都合退職の場合、7日間の待期期間があります。
さらに、3か月間の給付制限が設けられるため、この間は失業保険を受け取ることができません。
会社都合退職の場合、待期期間のみで受給が開始されます。
定期的な認定日への出席
受給中は4週間ごとにハローワークで求職活動の報告を行います。
これを怠ると、支給が停止されることがあるため注意が必要です。
失業保険は退職後の生活を安定させる重要な制度です。
受給条件を満たしている場合は、早めに手続きを行い、支給を受けるようにしましょう。
3. 退職金を確実に受け取るために確認すべきポイント
退職金は、会社を辞める際に受け取れる一時金として、多くの企業で支給される制度です。
退職金の金額や支給方法は会社ごとに異なるため、事前の確認が重要です。
以下に、退職金を確実に受け取るためのポイントを解説します。
退職金の基礎知識
退職金の有無や金額は、企業の就業規則や退職金規定によって決まります。
- 支給基準: 勤続年数や退職理由、最終的な給与額に基づいて計算される場合が一般的です。
- 支給方法: 退職時に一括で支給されることが多いですが、分割払いが採用されている場合もあります。
確認すべきポイント
- 就業規則と退職金規定を確認する
退職金の支給条件や計算方法が記載されているため、退職前に必ず確認しましょう。
具体的な支給額については、人事部門に問い合わせることをおすすめします。 - 勤続年数と退職理由
勤続年数が短い場合や、懲戒解雇などの理由で退職する場合、退職金が支給されないことがあります。
また、自己都合退職と会社都合退職では金額が異なる場合が多いため注意が必要です。 - 税金の取り扱い
退職金には「退職所得控除」が適用されるため、所得税が軽減されます。
控除額は勤続年数に応じて計算されるため、以下の目安を確認してください。- 勤続20年以下: 1年あたり40万円
- 勤続20年超: 1年あたり70万円
退職金が支払われない場合の対応
- 確認書類を求める
就業規則や退職金規定に基づき、退職金が支給されない理由を確認します。 - 労働基準監督署や弁護士に相談
不当な扱いを受けた場合は、法的な助けを求めることで解決を図れます。
退職金の使い方を計画する
退職金は一時的な大きな収入となるため、以下のような計画を立てることをおすすめします。
- 生活費の補填
- 貯蓄や投資
- 転職活動の資金
退職金は退職後の生活を支える重要な収入源です。
確実に受け取るためには、事前に就業規則を確認し、必要に応じて人事部門や弁護士に相談することが大切です。
4. 就職促進給付金や求職者支援制度で転職を有利に進める方法
退職後の再就職をサポートするために利用できる制度として、就職促進給付金や求職者支援制度があります。
これらを活用することで、転職活動を有利に進めることが可能です。それぞれの内容と利用方法を詳しく解説します。
就職促進給付金の概要
就職促進給付金は、早期再就職や新たな仕事に定着するための支援金です。
主に以下の2つの手当があります。
- 再就職手当
- 対象: 失業保険を受給中に再就職が決まった場合、支給されます。
- 支給条件:
- 失業保険の支給残日数が3分の1以上ある状態で再就職すること。
- 1年以上継続して雇用される見込みがあること。
- 支給額: 基本手当日額 × 残日数の60〜70%(条件により変動)。
- 就業促進定着手当
- 対象: 再就職後6か月以上継続して働いている場合に支給されます。
- 支給額: 再就職後の給与が失業保険の基本手当日額よりも少ない場合、その差額が支給されます。
求職者支援制度の概要
求職者支援制度は、職業訓練を受けながら生活費を支援する制度です。
以下の要件を満たすことで利用できます。
- 対象: 雇用保険を受給できない人(例えば、フリーランスやパートタイム勤務者)も利用可能。
- 支給額: 月額10万円の生活費が支給され、訓練期間中は無料または低額で専門的なスキルを習得できます。
- 申請手続き: ハローワークでの申し込みが必要です。求職活動を継続することが条件となります。
制度を活用するための手順
- ハローワークで相談する
最寄りのハローワークで、利用可能な制度について相談しましょう。 - 必要書類を準備する
求職者支援制度の場合、以下の書類が必要です。- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 収入や預貯金の証明書類
- 再就職が決まったら速やかに申請する
再就職手当を受け取るためには、転職後1か月以内に必要書類を提出する必要があります。
制度を活用するメリット
- 再就職までの経済的負担を軽減できる。
- 職業訓練を通じて、新しいスキルを習得し、キャリアアップにつなげられる。
就職促進給付金や求職者支援制度は、退職後の不安を軽減し、再就職をスムーズに進めるための有効な支援です。
条件に該当する場合は、積極的に活用しましょう。
5. 傷病手当金や住居確保給付金の活用で生活を安定させる
退職後、病気や怪我、あるいは収入の減少で生活が不安定になった場合に活用できる支援制度として、傷病手当金と住居確保給付金があります。
これらの制度は、生活の安定を図るために非常に有効です。
それぞれの内容や申請方法を詳しく解説します。
傷病手当金の概要
傷病手当金は、病気や怪我で働けない期間の生活費を補助する制度です。
健康保険に加入している場合に利用できます。
- 支給条件:
- 業務外の病気や怪我で療養中であること。
- 療養のため仕事ができない状態であること。
- 連続して3日以上の休業がある場合。
- 支給額:
1日あたりの支給額は、退職前の標準報酬月額を基に計算されます。
平均的に給与の3分の2程度が支給されます。 - 支給期間:
最長1年6か月間、受給可能です。
傷病手当金の申請手続き
- 健康保険組合や加入している保険者に申請書を請求。
- 医師の診断書を用意し、申請書とともに提出。
- 支給決定後、指定の口座に振り込まれます。
住居確保給付金の概要
住居確保給付金は、失業や収入減少により住居を失うリスクがある場合に、家賃相当額を支給する制度です。
特に経済的に困難な状況にある場合、重要な支援となります。
- 支給条件:
- 離職や廃業から2年以内であること。
- 世帯収入が一定基準以下であること(基準は地域によって異なります)。
- 求職活動を行っていること。
- 支給額:
家賃の実費(上限あり)が支給されます。支給期間は最長9か月です。 - 支給手続き:
住居地の自治体の窓口で申請し、必要書類を提出します。
制度を活用するポイント
- 早めの手続き:
申請期限を過ぎると利用できないため、退職後速やかに手続きすることが重要です。 - 正確な書類の準備:
記入漏れや必要書類の不足があると手続きが遅れる可能性があります。
傷病手当金と住居確保給付金は、経済的な不安を軽減するための強力な支援制度です。
生活が不安定な状況に陥った場合、これらの制度を活用して安定を図り、次のステップに進む準備を整えましょう。
6. 特例一時金など知っておきたい追加の支援制度
退職後には、特定の条件を満たすことで受け取れる「特例一時金」などの追加支援制度もあります。
これらの制度は、退職後の生活を一時的に補助する目的で設けられており、知っておくことで活用の幅が広がります。
特例一時金の概要
特例一時金は、短期雇用特例被保険者が失業した際に支給される手当です。
短期的な労働契約で働いていた人でも利用できる制度で、以下の条件を満たす場合に支給されます。
- 受給条件:
- 離職日までに11日以上働いた月が通算6回以上あること。
- 失業状態にあること(再就職していない)。
- 支給額:
基本手当日額の40日分に相当する額が支給されます。 - 申請期限:
離職日の翌日から6か月以内に申請を行う必要があります。
特例一時金の申請手続き
- 必要書類を準備(離職票、本人確認書類、銀行口座情報など)。
- ハローワークで申請を行い、審査を受けます。
- 支給決定後、指定口座に振り込まれます。
その他の支援制度
- 教育訓練給付金
指定の教育訓練を受講することで、受講料の20〜70%(上限あり)が支給される制度です。
キャリアチェンジやスキルアップに役立ちます。 - 労災保険の特別支給金
退職前の業務で発生したケガや病気に対する補償金が支給される場合があります。
制度活用のポイント
- 情報収集を徹底する
自治体やハローワーク、保険組合の窓口で詳細を確認し、自分が利用できる制度をリストアップしましょう。 - 期限を守る
特例一時金やその他の支援金には申請期限が設けられているため、早めの行動が必要です。 - 条件に合わせて組み合わせる
失業保険と教育訓練給付金など、複数の制度を併用することで、経済的な負担をさらに軽減できます。
これらの制度を活用することで、退職後の経済的な不安を軽減し、新たなキャリアに向けた準備を進めることができます。
退職前に計画的に情報を収集し、最適な制度を選ぶことが成功への近道です。