第一章 はじめに
メルカリは、日本最大級のフリマアプリとして多くのユーザーに利用されています。
個人が不要になったものを簡単に売買できる利便性から、生活の一部になっている人も少なくありません。
しかし、近年は度重なる規約改定によって「改悪ではないか」という声も強まっています。
特に2025年10月に施行される最新の規約改定は、事業者の利用制限という大きな変更を含んでいます。
これまで副業や小規模ビジネスの販売手段としてメルカリを活用してきた人々にとって、大きな転換点となる内容です。
本記事では、この規約改定の内容を整理し、「なぜ改悪と言われるのか」「個人利用者と事業者でどう違うのか」「今後どのような影響があるのか」を事実ベースで解説していきます。
メルカリユーザーが今後も安心して利用できるよう、最新情報を分かりやすくまとめました。
第二章 最新の規約改定内容
2025年10月22日に施行される最新の規約改定は、メルカリの歴史の中でも特に大きな転換点といえます。
今回の改定で最も注目されているのが、「事業者による登録の禁止」です。
新しく追加された第3条では、メルカリが指定した法人以外の事業者は、メルカリのユーザー登録やサービス利用ができなくなります。
これまで副業や小規模物販事業を行っていた人が個人アカウントを使って出品していたケースは数多くありましたが、今後はこれが不可能となります。
この背景には、個人のフリマ市場と事業者による販売市場を明確に分離したいというメルカリの意図があります。
結果として、転売やせどり、または副業で在庫を抱えて販売していた利用者は、メルカリShopsへの移行を余儀なくされます。
一方で、不用品販売を目的とする一般ユーザーは、これまで通りメルカリを利用できます。
つまり「個人利用者」と「事業者」の線引きを公式に示した形です。
この改定によって、個人ユーザーにとっては取引環境が改善される可能性がある反面、事業者や副業ユーザーにとっては「改悪」と感じる大きな要因となっています。
第三章 メルカリとメルカリShopsの違い
今回の規約改定で事業者がメルカリを利用できなくなることに伴い、多くのユーザーがメルカリShopsへの移行を検討せざるを得なくなりました。
しかし、この2つのサービスは仕組みや使い勝手が大きく異なります。
ここでは、その違いを整理します。
アカウント開設の違い
メルカリは電話番号認証だけで簡単に利用を開始できます。
一方、メルカリShopsでは事業者証明書類の提出が求められ、手続きが煩雑です。
副業で気軽に始めたい人にとっては大きなハードルになります。
販売商品の違い
メルカリでは中古品の出品が自由にできますが、メルカリShopsで中古品を扱う場合には古物商許可証が必要です。
特にリユース事業を行う小規模事業者にとっては、法律上の対応が必須となります。
出品の露出度
メルカリでは新着出品が目立ちやすく、多くのユーザーに閲覧されやすい特徴があります。
対してメルカリShopsでは競合も多く、露出度は下がりやすいため販売力に差が出るケースがあります。
管理機能
メルカリはシンプルな出品・購入システムに限られていますが、メルカリShopsはCSV一括出品や在庫管理などの機能を備えています。
これにより事業者向けには便利な面もある反面、個人で副業として販売してきた人にとっては過剰な機能で使いにくさを感じることもあります。
こうした違いから、利用者が「改悪」と感じるのは当然です。
簡単に利用できる利点が削がれ、事業者は複雑な環境へ移行しなければならないためです。
第四章 過去の規約改定とその背景
メルカリでは、これまでも度々規約改定が行われてきました。
その中にはユーザーの利便性向上を目的としたものもあれば、今回のように「改悪」と受け止められる内容もあります。
ここでは2025年1月に実施された大きな改定を振り返ります。
割引券の取り扱い変更
2025年1月29日の改定では、第16条「割引券の取扱い」に関する変更が行われました。
具体的には、クーポン利用時に出品者の売上金から販売手数料を減額する仕組みが削除され、メルカリ側が全額を負担する形に統一されました。
この改定は表面上、出品者への負担を軽減するものでしたが、同時にクーポン施策の自由度が減り、販促面での活用が難しくなったと指摘する声もありました。
サービス内容の見直し
第1条「サービス内容」では、従来記載されていた「ユーザーの自己責任」という文言が削除され、メルカリ側の補償や対応について明文化されました。
これにより取引トラブルの際に一定のサポートが期待できるようになった一方で、内部の会計処理や返品詐欺対策を強化する狙いもあったと考えられます。
改定の背景
これらの変更は、急成長するメルカリにおける不正利用や詐欺被害の増加に対応するためのものでもありました。
ユーザー保護を重視する姿勢が打ち出されつつも、出品者にとっては自由度の制限が進んでいるという印象を与えました。
今回の2025年10月改定は、こうした過去の流れの延長線上にあり、より強く「個人利用」と「事業者利用」を切り分ける方向性が明確になったといえます。
第五章 事業者への影響と課題
今回の規約改定によって、メルカリで物販を行ってきた事業者や副業ユーザーは大きな影響を受けます。
特に「メルカリ本体から締め出され、メルカリShopsへ移行せざるを得ない」という点が最大の課題です。
移行必須による負担増
10月22日以降、転売やせどり、小規模物販を行っているユーザーはメルカリShopsへ移行しなければ利用制限の対象となる可能性があります。
メルカリShopsでは事業者証明書類や古物商許可証などの準備が求められるため、従来よりも参入ハードルが高まります。
出品作業と在庫管理の煩雑化
メルカリShopsは一括出品や在庫管理のためのツールが提供されている一方で、操作や設定はより複雑です。
個人アカウント感覚で簡単に出品できたメルカリと比べると、時間的・労力的な負担が増えるのは避けられません。
発送業務の効率低下
従来のメルカリでは少数の商品を個人間取引として柔軟に発送できましたが、Shopsでは規模を前提とした発送対応が求められるため、小規模事業者にとっては効率が下がるケースがあります。
専用ツールの必要性
こうした課題を解決するためには、在庫連携や価格調整を自動化する外部ツールの導入が有効です。特に複数商品を扱う事業者は、ツールを使わなければ作業負担が膨大になり、利益率を圧迫するリスクがあります。
個人ユーザーとの格差
一方で、不用品販売を目的とする個人ユーザーは引き続きメルカリを利用できます。
この結果、個人と事業者の線引きがより鮮明になり、フリマアプリとしての「個人に優しい環境」が再強化される形となります。
第六章 今後の展望とまとめ
今回の規約改定は、メルカリにおける個人ユーザーと事業者の立ち位置を大きく変える重要なターニングポイントです。
改定後のプラットフォームは、次のような方向性を示しています。
個人ユーザーへの影響
個人の不用品販売は引き続き利用可能であり、むしろ事業者が排除されることで出品の公平性が高まると考えられます。
結果として、個人ユーザーにとっては取引環境が改善され、安心して利用できる場が強化される可能性があります。
事業者の分離と管理強化
一方で、事業者はメルカリ本体から分離され、メルカリShopsを利用する形へと完全にシフトします。
これにより、事業者の活動はより透明化し、法令遵守や在庫管理の精度が高まることが期待されます。
しかし、小規模事業者や副業ユーザーにとっては負担が増大し、利用継続を断念するケースも出てくるでしょう。
プラットフォーム全体の健全化
メルカリは今回の改定を通じて、プラットフォームの健全性を高め、利用者の信頼を守ることを目指しています。
事業者と個人を明確に分けることで、トラブルや不正取引のリスクを減らし、持続可能な取引環境を提供できると考えられます。
まとめ
今回の改定は「個人ユーザーには追い風」「事業者には向かい風」となる内容です。
メルカリを日常的に利用している人は、自分がどちらの立場に属するのかを正確に把握し、今後の方針を明確にする必要があります。
事業者はメルカリShopsでの運用体制を早急に整え、個人は従来通り安心して不用品販売を続けられる環境を活用するのが得策です。
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