
「メルカリで売れなかった服が、ChatGPTで写真を作り直しただけで完売した」——このような投稿と一緒に、白いスタジオ風に仕上げるプロンプト、正面と斜めの2カットを作るプロンプト、平置き写真を全身の構図に変えるプロンプトなどがSNSで拡散しています。
結論からいうと、生成AIで「実物の写真に見せかけた画像」を作ってメルカリに出品する行為は、2026年3月25日に公開されたメルカリの公式ルールで明確に禁止されています。傷や汚れを加工で消すこと、生成AIのイメージ画像だけで出品することが、名指しで挙げられています。
ただし、AIの利用そのものが全面禁止になったわけではありません。イメージ画像を使う場合でも必ず実物の写真を掲載する、商品の状態を偽らない、という条件を守れば使える余地は残っています。メルカリ自身も、出品時に背景をぼかすAI機能や、写真からタイトル・商品説明文を作る「AI出品サポート」を提供しています。
この記事では、2026年8月29日時点のメルカリ公式情報を基に、拡散しているプロンプトのどこがルールに触れるのか、公式が用意しているAI機能、そしてChatGPTを安全に使って売れ行きを改善する方法を整理します。
メルカリのAI画像ルールに関する結論

最初に、写真の加工方法ごとの扱いを整理します。
| 写真の作り方 | 扱い | 根拠・条件 |
|---|---|---|
| 明るさ・トリミング・向きの調整 | 問題になりにくい | 商品の色・形・状態が実物と変わらない範囲にとどめる |
| メルカリアプリの背景ぼかし機能 | 公式機能 | 出品画面のカメラから利用できる |
| 生成AIで背景だけ白などに置き換える | 条件付き | イメージ画像扱い。実物の写真の掲載が必須。色や質感が変わればNG |
| 生成AIで撮っていない角度や着用イメージを作る | リスクが高い | 実際には存在しない見え方を作る行為。実物写真の併載が必須 |
| 傷・汚れ・毛玉・シミをAIで消す | 禁止 | 公式ルールで明記 |
| 生成画像だけで出品する | 禁止 | 公式ルールで明記 |
メルカリの出品者ガイドラインは、実際に手元にある商品の写真を掲載すること、商品の状態が具体的にわかるようさまざまな角度から撮影することを求めています。あわせて、購入者の誤解を招くような写真の加工や、販売する商品に含まれない物を目立たせる撮り方は避けるよう記載され、誤解を招くと判断した画像は削除する可能性があるとしています。
2026年3月に公開された「生成AI・加工画像」の3つのルール
メルカリは2026年3月25日、公式サイト「メルカリびより」で生成AI・加工画像を使った出品画像に関する注意点を公開しました(2026年4月30日更新)。示されているルールは次の3つです。
- 傷・汚れ・使用感を加工により隠したり、消したりしない:本来ある傷や汚れを加工で消す行為は禁止。該当箇所の写真を掲載する
- 「実物の写真」に見せかけた虚偽の画像は使わない:生成AIで作ったイメージ画像や強い加工を施した画像のみで出品しない。イメージ画像を使う場合も必ず実物の写真を掲載する
- 取引メッセージや事務局への連絡で、虚偽の画像を使わない:破損していない商品を壊れたように見せた画像を送るなど、事実と異なる加工画像の使用は禁止
3つ目は購入者側にも関係するルールです。返金や返品を求めるために、届いた商品の状態を偽った画像を作って送る行為も対象になります。
ルール違反と判断された場合の措置
メルカリの禁止されている行為のページでは、事務局が禁止行為に該当すると確認した場合、または利用者からの連絡で該当する可能性があると判断した場合に、警告や、一定期間あるいは無期限の利用制限を行うと記載されています。
また、虚偽の情報もしくは誤解を招くおそれがある情報を記載することも禁止行為として挙げられ、虚偽の商品説明や、虚偽のブランド・カテゴリ・商品状態の設定が具体例として示されています。写真は商品状態を伝える中心的な情報なので、画像だけが例外という考え方はできません。
SNSで拡散しているプロンプトをルールに照らして検証する
実際に出回っている3種類のプロンプトを、公式ルールに当てはめて確認します。
1.「生活感除去」プロンプト
床や部屋の背景を白いスタジオ風に置き換えるものです。「服の色、柄、形は実物のまま変えない」という条件が付いていることが多く、意図としては公式ルールに近い方向を向いています。
ただし現在の画像生成AIは、背景だけを差し替えているのではなく、指示に沿って画像全体を作り直します。OpenAIは2026年4月21日にChatGPT Images 2.0(APIではgpt-image-2)を公開し、編集の精度は大きく向上しましたが、それでも生地の質感、毛玉、色褪せ、小さなシミなどが自然に整えられてしまうことがあります。結果として傷や使用感が消えていれば、意図の有無にかかわらず1つ目のルールに触れます。
背景をきれいにしたいだけであれば、次章のメルカリ公式機能を使うか、白い紙を敷いて撮り直すほうが確実です。
2.「角度2倍」プロンプト
1枚の写真から、正面と斜めの2カットを作らせるものです。これは背景の加工とは性質が異なります。実際には撮影していない角度の見た目を、AIが推測して描いているからです。
斜めから見たシルエット、袖の落ち方、裾の形は、AIが学習データを基に作った推測にすぎません。実物と違っていても購入者には判別できず、届いてから「写真と違う」というトラブルになります。出品者ガイドラインが求めているのは、実際に手元にある商品をさまざまな角度から撮った写真であり、角度を増やしたいのであれば商品を回して撮り直すのが本来の対応です。
3.「シルエット強調」プロンプト
平置き写真から、丈や形が伝わる全身の構図や着用イメージを作るものです。生成された着用イメージは、公式ルールでいう「イメージ画像」に当たります。使うのであれば、実物の写真を必ず掲載したうえで、イメージ画像であることが購入者にわかる形にする必要があります。
加えて、人物を含む画像を生成する場合は、実在の人物に似た顔が生成されないか、参考にした写真の権利関係に問題がないかにも注意が必要です。メルカリでは、他会員が撮影した画像やメルカリ外にある画像を無断で使用する行為も禁止されています。
共通する問題点
3つのプロンプトに共通するのは、「実物と同じ」という前提を、出力を目視で確認するという運用だけで担保している点です。自分の目で見比べても、生地の毛羽立ちや微細な色ムラの再現度までは判定しきれません。購入者が判断材料にしているのは、まさにその細部です。
メルカリが公式に用意しているAI機能

写真や出品作業を楽にしたいのであれば、まずメルカリ自身の機能を確認するのが安全です。
背景ぼかし機能
メルカリは2025年11月5日、画像編集アプリ「Photoroom」の技術を導入し、出品時に商品写真の背景を自動でぼかす機能を提供開始しました。アプリの「出品する」からカメラを起動し、カメラマークの横にあるマークを有効にして撮影すると、AIが被写体を認識して背景にぼかしを加えます。
発表では、部屋が散らかっている、背景が気になるといった理由で出品をためらう利用者が多いことが導入の背景として説明されています。背景を差し替えるのではなく、実際に撮った写真の背景をぼかす処理なので、商品そのものの見え方は保たれます。
AI出品サポート
メルカリは2024年9月10日にAI出品サポートの提供を開始しました。写真を入力してカテゴリーを選ぶと、タイトルと商品説明文が自動生成されます。
公式ヘルプのAI出品サポートでは、写真からのカテゴリー提案、タイトルの自動生成、商品説明文の自動生成ができると案内される一方、AIからの提案内容は正確ではない場合があるため、自分で確認して必要に応じて修正するよう明記されています。提供範囲についても、一部の利用者のみが使える機能と記載されています。
ChatGPTを安全に使って売れ行きを改善する方法
画像そのものを作り替えるのではなく、撮影と出品作業の質を上げる用途であれば、ChatGPTは制約なく使えます。
1.撮影の設計を相談する
手元の写真をChatGPTに読み込ませ、加工を依頼するのではなく撮り直しのアドバイスを求めます。次のような依頼であれば、出力されるのは文章であり、出品する画像は自分で撮ったものになります。
この平置き写真の問題点を、フリマアプリの商品写真として指摘してください。画像は加工せず、次に撮り直すときの改善点だけを、光の向き・背景・角度・枚数の観点で挙げてください。
2.撮影カットのリストを作る
出品者ガイドラインは、全体像に加えて細部、傷や汚れのある箇所、付属品、パッケージの撮影を求めています。商品ごとに必要なカットを洗い出す作業はChatGPTが得意です。
中古のウールコートを出品します。購入者の不安を減らすために撮影すべきカットを、優先順位を付けて10個挙げてください。傷や使用感を隠さず伝える前提でお願いします。
3.商品説明文と採寸表を整える
採寸した数値、素材、着用回数、気になる箇所などを箇条書きで渡し、読みやすい説明文に整形してもらいます。数値や状態は必ず自分が実測・確認した事実を渡し、AIに推測させないことが前提です。生成された文章に、確認していない情報が紛れていないかを必ず読み返してください。
4.検索されるキーワードを洗い出す
タイトルに入れるブランド名、カテゴリ名、色、サイズ、季節、用途などの候補を出してもらい、実際にメルカリ内で検索して表示件数や売れている出品を確認します。ここでも、商品に当てはまらないキーワードを詰め込むと、誤解を招く情報の記載に該当するおそれがあります。
5.公式の撮影ポイントを押さえる
メルカリ公式コラムの出品アイテムの写真を綺麗に撮るポイントでは、出品前に落ち着いて撮影しておくこと、1対1の正方形で撮ること、衣類なら洗濯やアイロンで整えてから撮ること、白い紙などを敷くこと、商品の上側から光が入る向きにして光源を混在させないこと、全体像と細部の両方を撮ることが紹介されています。
売れなかった原因の多くは、AIで作れない部分にあります。アイロンをかける、明るい時間帯に撮る、白い紙を敷く、枚数を増やすという基本の作業のほうが、規約違反のリスクなしに効果を出せます。
事業として販売している場合は景品表示法にも注意
継続的に仕入れて販売している場合や、メルカリShopsで事業として出品している場合は、プラットフォームの規約に加えて景品表示法の対象になり得ます。
消費者庁の優良誤認とはによれば、商品の品質や規格などについて、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示は不当表示に当たり、消費者庁長官による措置命令などの対象になります。
写真は商品の品質に関する表示そのものです。生成AIで実物より状態がよく見える画像を作れば、規約違反にとどまらず法令上の問題になるおそれがあります。副業として販売規模が大きくなっている人ほど、この点を意識してください。
「写真と違う」と言われたときの対応
通常のメルカリの取引は、出品者と購入者の間の個人間取引です。国民生活センターも、フリマサービスのトラブルは当事者間での解決が原則になると案内しています。
- まず取引メッセージで事実を確認し、事実と異なる加工画像を送らない
- 撮影時の元データ(加工前の写真)が残っていれば、状態の説明に使える
- 当事者間で解決しない場合は、メルカリ事務局へ相談する
- それでも解決しない場合は、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターに相談できる
加工前の元写真を残しておくことは、トラブル時に自分を守る資料になります。撮影データはすぐに削除せず、取引完了後しばらく保管しておきましょう。
メルカリのAI画像に関するよくある質問

ChatGPTで作った画像は1枚も使ってはいけませんか?
全面禁止とは案内されていません。メルカリのルールは、生成AIのイメージ画像や強い加工を施した画像「のみ」での出品を禁止し、イメージ画像を使う場合も必ず実物の写真を掲載するよう求めています。ただし傷・汚れ・使用感を消す加工は、実物写真を併載していても禁止です。
背景を白く置き換えるだけならOKですか?
商品の色・形・質感が実物のまま保たれ、実物の写真も掲載しているなら、直ちに違反とは言えません。ただし生成AIは画像全体を作り直すため、使用感まで整ってしまうことがあります。背景が気になる場合は、メルカリアプリの背景ぼかし機能を使うか、白い紙を敷いて撮り直すほうが安全です。
メルカリの背景ぼかし機能は加工に当たりませんか?
メルカリが出品画面の公式機能として提供しているものです。実際に撮影した写真の背景をぼかす処理で、商品そのものを描き換えるものではありません。
AIで作った画像だと運営に判別されますか?
判別方法についてメルカリは公表していません。ただし違反の指摘は、事務局の確認だけでなく、購入者からの連絡でも行われます。商品が届いた時点で写真との差が明らかになるため、発覚しないことを前提にした運用は現実的ではありません。
商品説明文をChatGPTに書かせるのは問題ありませんか?
メルカリ自身がAI出品サポートで説明文の自動生成を提供しています。ただし公式ヘルプも、生成内容が正確でない場合があるため自分で確認・修正するよう求めています。採寸値や商品状態など事実に関わる部分は、必ず実物を確認して記載してください。
ルール違反と判断されるとどうなりますか?
メルカリのヘルプでは、禁止行為に該当すると判断された場合、警告や、一定期間あるいは無期限の利用制限を行うと記載されています。商品の削除や取引のキャンセルが行われることもあります。
まとめ|AIは写真を作る道具ではなく、撮り方を整える道具

SNSで拡散しているメルカリ向けの画像生成プロンプトは、公式ルールに照らすと危うい部分があります。要点を整理します。
- 2026年3月25日公開の公式ルールで、傷・汚れ・使用感を消す加工と、生成画像のみでの出品は禁止された
- イメージ画像を使う場合は、必ず実物の写真もあわせて掲載する
- 撮っていない角度や着用イメージの生成は、実物と異なる見え方を作るリスクがある
- 背景が気になるなら、メルカリの背景ぼかし機能を使うか撮り直す
- ChatGPTは、撮影の設計、カットの洗い出し、説明文の整形、キーワード検討に使うと効果が出やすい
- 事業として販売している場合は、景品表示法の優良誤認にも注意する
- 違反と判断されると、警告や利用制限の対象になり得る
売れない原因が写真にあるという指摘自体は、多くの場合正しいものです。ただし解決策は、実物と違う写真を作ることではありません。アイロンをかけて、明るい場所で、白い背景を敷いて、角度と枚数を増やして撮り直す。この基本作業を効率よく設計するためにAIを使うほうが、アカウントを守りながら結果につながります。
※本記事は2026年8月29日時点の公表情報を基に作成しています。メルカリの規約・ガイドライン・提供機能は変更される場合があります。実際の出品前に、必ず最新の公式ヘルプおよびガイドラインをご確認ください。個別の法的判断については専門家へご相談ください。
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