
「ファミマ 倒産」というニュースが増えています。結論から書きます。
株式会社ファミリーマートが倒産した事実はありません。むしろ2026年2月期の決算は事業利益が前期比17.9%増の1,002億円、全店平均日商は58万5,000円で過去最高を更新しています。
ではなぜこの言葉が報じられるのか。2026年9月時点で確認できる範囲では、性質のまったく異なる3つの事実が混ざっているためです。ひとつはファミリーマートの加盟店を経営していた会社の破産、もうひとつは名前が似た別会社の破産、そして本体が2020年に上場廃止となったことによる誤解です。
この記事では、2026年9月2日時点で確認できる公式情報と報道を基に、それぞれを切り分けて整理します。
結論:何が倒産し、何が倒産していないのか

| 対象 | 状況 | 時期 |
|---|---|---|
| 株式会社ファミリーマート(本体) | 倒産していない。2026年2月期は増収・事業利益17.9%増 | 2026年4月8日決算発表 |
| 加盟店経営会社「美志」(福岡) | 破産開始決定。ファミマ3店舗を運営していた法人 | 2026年8月18日 |
| 「ファミリーマートさとう」(青森) | 破産。コンビニ大手とは無関係の食品スーパー | 2025年4月 |
| 本体の株式 | 上場廃止(倒産ではなく親会社によるTOBの結果) | 2020年11月 |
事実1:福岡の加盟店経営会社が破産(2026年8月)
RKB毎日放送が2026年9月1日に報じた東京商工リサーチの情報によると、福岡県筑紫野市の「美志」が8月18日、福岡地裁から破産開始決定を受けました。負債総額は約4,900万円です。
- 2019年4月設立のコンビニ経営会社
- 福岡県の太宰府市、大野城市、筑前町で「ファミリーマート」3店舗を経営していた
- 競合が厳しいなか販売不振が続き、2023年5月に事業を停止していた
ここで押さえるべきは、倒産したのは加盟店(フランチャイジー)として店舗を運営していた独立した法人であり、チェーン本部である株式会社ファミリーマートではないという点です。すでに2023年に事業を停止していた法人の法的整理が、2026年に完了したという内容でもあります。
フランチャイズでは本部と加盟店は別法人
コンビニの多くはフランチャイズ方式で運営されています。本部がブランド、商品供給、システムを提供し、加盟店が独立した事業者として店舗を運営する仕組みです。したがって加盟店法人の倒産は、本部の経営状態を直接示すものではありません。逆に、本部が健全でも個々の店舗は立地や競合の影響で採算が悪化することがあります。
事実2:青森の「ファミリーマートさとう」は別会社(2025年4月)
検索結果で混同されやすいのが、青森県むつ市の「ファミリーマートさとう」です。青森放送などの報道によると、同社は2025年4月に事業を停止し破産申請へ進みました。負債は約8億8,000万円と伝えられています。
- 1970年創業の地元食品スーパー
- むつ市に2店舗、大間町に1店舗を展開していた
- 大手やコンビニ、ドラッグストアとの競合で売上が減少していた
社名に「ファミリーマート」が含まれますが、コンビニ大手のファミリーマートとは資本関係のない別の会社です。社名が似ているだけで無関係な企業の倒産が、チェーン全体の話として受け取られることがあります。
事実3:本体は2026年2月期に過去最高水準の業績
ファミリーマートは非上場ですが、決算情報を公式サイトで公表しています。2026年4月8日に発表された2026年2月期(2025年度)の主な数値は次のとおりです。
| 項目 | 2026年2月期 | 前期比 |
|---|---|---|
| 営業収益 | 5,056億2,600万円 | 0.4%増 |
| 事業利益 | 1,002億1,700万円 | 17.9%増 |
| 親会社所有者帰属当期利益 | 644億2,400万円 | 24.2%減 |
| チェーン全店売上高 | 3兆3,002億800万円 | 1.7%増 |
| 全店平均日商 | 58万5,000円 | 過去最高 |
| 店舗数(2月末) | 2万5,263店 | 642店増 |
既存店日商は3.0%増で54カ月連続の前年超え、加盟店利益は5年連続で増加しています。店舗数は初めて2万5,000店を超え、国内は1万6,415店となりました。ファミリーマートの会社概要でも、2026年2月末時点の店舗数と、2026年2月期のチェーン全店売上高が同じ数値で公表されています。
倒産という言葉から想起される状況とは、実態が大きく異なります。
ただし課題もある
好調な数字ばかりではありません。同じ決算資料で、客単価が4.3%増だった一方、客数は1.2%減となり、前年割れが続いていることが示されています。売上の伸びが単価上昇に支えられている構図です。また、事業利益が増えた一方で最終利益にあたる当期利益は24.2%減となっています。
「倒産する」という話とは別に、客数の減少や人件費・原材料費の上昇はコンビニ業界に共通する課題です。
なぜ「ファミマ 倒産」と報じられるのか

整理すると、次の4つが重なっていると考えられます。
- 加盟店法人の破産が「ファミリーマート」の名前で報じられる:見出しだけを見ると本体の話に読める
- 社名が似た別会社の倒産:「ファミリーマートさとう」のようなケース
- 上場廃止による誤解:2020年11月、親会社の伊藤忠商事が実施したTOB(1株2,300円、総額約5,809億円)を経て非上場化した。株式市場から銘柄が消えたことを経営難と結び付けられることがある
- 個別店舗の閉店情報:立地の見直しや契約満了による閉店が、チェーン全体の縮小として受け取られる
上場廃止は倒産ではありません。買収によって株式を非公開化する経営判断であり、財務の悪化を意味するものではありません。
コンビニ業界全体の倒産はどうなっているか
加盟店レベルでの経営難は、実際に存在します。帝国データバンクの倒産集計 2025年度報によると、2025年度(2025年4月〜2026年3月)の企業倒産は1万425件で4年連続の増加、2年連続で年度1万件を超えました。背景として物価高、人件費の高騰、金利上昇などが挙げられています。
コンビニを含む飲食料品小売業の倒産は2025年度358件で、前年度から11.5%増え、4年連続の増加。過去最多だった2013年度に次ぐ水準です。
チェーン本部が最高益を更新する一方で、個々の店舗運営会社は厳しい環境に置かれているという二重構造が、この業界の実情です。「ファミマ 倒産」という検索語が消えない背景には、この現実もあります。
企業の経営状態を自分で確認する方法
噂を確認したいときは、次の順で一次情報に当たると早く判断できます。
- 決算関連情報:業績概況や説明資料が公表されている
- 月次営業報告:既存店売上や店舗数の推移を毎月確認できる
- 親会社である伊藤忠商事のIR資料:グループ全体での位置づけがわかる
- 東京商工リサーチ、帝国データバンクの倒産情報:どの法人が対象かを社名・所在地まで確認する
- 官報:破産手続開始決定などの法的整理は官報に掲載される
報道を読む際は、倒産した法人の正式名称と所在地を確認することが最も確実です。「ファミリーマート」という文字列が見出しにあっても、主語が本部なのか加盟店法人なのか、あるいは無関係の同名企業なのかで、意味はまったく変わります。
よくある質問
ファミリーマートは倒産しますか?
2026年9月2日時点で、そのような事実や公式発表はありません。直近の2026年2月期決算は増収で、事業利益は前期比17.9%増、全店平均日商は過去最高を更新しています。
ファミリーマートが上場廃止になったのはなぜですか?
2020年、親会社の伊藤忠商事がTOB(株式公開買い付け)を実施し、非上場化したためです。経営破綻によるものではありません。
近所のファミマが閉店しましたが、チェーンが縮小しているのですか?
2026年2月末の店舗数は2万5,263店で、前期から642店増加し初めて2万5,000店を超えました。個別店舗の閉店は、立地の見直しや加盟店の契約満了など個別の事情によるものです。
「ファミリーマートさとう」はファミリーマートの子会社ですか?
違います。青森県むつ市を地盤としていた食品スーパーで、コンビニ大手のファミリーマートとは資本関係のない別会社です。2025年4月に事業を停止し破産申請へ進みました。
加盟店が倒産したら、その店はどうなりますか?
運営会社が事業を停止すれば店舗は閉店します。ただし本部が別の加盟者を募集したり、直営で継続したりする場合もあります。個別の店舗の扱いは、契約や立地の状況によって異なります。
まとめ|主語が「本部」か「加盟店」かで意味が変わる

- 株式会社ファミリーマートが倒産した事実はない
- 2026年2月期は営業収益5,056億円、事業利益1,002億円(17.9%増)、全店平均日商58万5,000円で過去最高
- 店舗数は2万5,263店で初めて2万5,000店を突破
- 2026年8月に破産開始決定を受けたのは、福岡でファミマ3店舗を運営していた加盟店法人(負債約4,900万円)
- 青森の「ファミリーマートさとう」は無関係の食品スーパー
- 2020年の上場廃止は伊藤忠商事のTOBによるもので、経営破綻ではない
- 一方で客数は1.2%減が続き、業界全体では倒産件数が増加している
企業名を含む「倒産」の情報に触れたときは、倒産した法人の正式名称と所在地を確認する。この一手間で、多くの誤解は避けられます。
※本記事は2026年9月2日時点で公表・報道されている情報を基に作成しています。決算数値は各社の公表資料に基づきます。企業の状況は変わる可能性があるため、最新情報は各社の公式発表をご確認ください。