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29年の歴史に幕!マルイシティ横浜閉店の背景とポケモンセンター移転の可能性や跡地活用を徹底解説

マルイシティ横浜が2026年2月末で閉店決定

横浜駅東口のランドマークとして約29年間にわたり愛され続けてきたマルイシティ横浜が、2026年2月末をもって閉店することが正式に発表されました。
1996年9月の開業以来、スカイビルの顔として、アパレル・雑貨・ホビー・飲食など多様なテナントを擁し、年間約900万人が訪れる大型商業施設として横浜の商業発展に大きく貢献してきました。

今回の閉店決定は、長期的な消費行動の変化や競争環境の激化に伴い、収益構造の維持が困難になったことが背景にあります。
発表当日は、SNSや地域住民の間で「ついに閉店か…」「青春の場所だった」という声が相次ぎ、地域に深く根ざした施設だったことを改めて感じさせる反応が広がりました。

マルイシティ横浜は、最盛期の1998年度に売上約255億円を記録し、横浜駅東口の商業の中心地として確固たる地位を築いてきました。
しかし近年は、EC市場の急拡大・消費者の購買スタイルの変化・競争施設の増加といった環境要因が重なり、2024年度の売上は約124億円と最盛期の半分以下にまで減少しました。

経営側は複数年にわたって施設改革に取り組んできましたが、長期的な改善には至らず、「閉店」という大きな決断を下すことになりました。
約30年の歴史を持つ商業施設が幕を下ろすことは、横浜の商業地図にとって大きな転換点です。

29年の歴史と地域に果たした役割

マルイシティ横浜は、1996年9月にスカイビルの完成と同時にオープンし、横浜駅東口の象徴的存在としてその歴史をスタートさせました。
まだ駅周辺の再開発が現在ほど進んでいなかった時代に登場した同施設は、若いビジネスパーソンやファミリー層を中心に幅広い世代から支持を集め、横浜駅東口の商業を牽引する中心的な役割を果たしました。

開業当初の活気と“横浜の新定番スポット”としての位置づけ

1990年代後半、横浜駅周辺の商業施設は西口側に集中していました。
その中で、東口に新たな活気をもたらしたのがマルイシティ横浜です。
洗練されたアパレル・雑貨店を多数そろえ、若者を中心に“横浜で買い物をするならマルイ”といわれるほど人気を集めました。

当時の売上は1998年度に約255億円を記録し、開業後わずか数年でエリアトップクラスの商業施設に成長しました。
ここを拠点に休日の買い物やデートを楽しむ人々が多く、同施設は生活に密着したショッピングスポットとして存在感を高めていきました。

東口エリアの発展を支えた中心施設

マルイシティ横浜は単なる商業施設ではなく、
東口エリアの発展を加速させた起点でもありました。

スカイビル内の複合テナントとの相乗効果によって来館者数は増え続け、
年間約900万人が訪れる大型施設へ成長。
その存在は周辺の飲食店、ホテル、バスターミナルを含む東口の都市機能の強化にも貢献しました。

地域住民にとっての“日常の拠点”

施設が担っていたのは買い物だけではありません。

・通勤前に寄れる店舗
・待ち合わせ場所
・休日の家族のお出かけ先
・イベントやフェアでの交流空間

こうした“地域の便利さ”を支える場所として、
横浜駅周辺に住む多くの人々の生活に深く溶け込み、
長く愛され続けてきました。

近年のホビー化戦略と新たな役割

2018年には「ポケモンセンターヨコハマ」を誘致し、
2019年には駿河屋が入居するなど、
若年層・ホビーファンに特化した構成へシフト。

これにより、アパレル中心だった時代とは異なる新規客層を取り込み、
“ホビーの聖地”としての新たな役割を果たし始めていました。

しかし、後述するように市場環境の変化は非常に厳しく、
努力にもかかわらず十分な復活には至りませんでした。


業績低迷の要因と市場環境の変化

マルイシティ横浜が閉店に至った背景には、単純な来客数の減少だけではなく、消費者行動の変化・競争環境の厳しさ・市場構造の転換といった複数の要因が複雑に絡み合っています。ここでは、その要因を事実ベースで丁寧に整理します。

最盛期255億円から半減した売上構造の変化

1998年度に約255億円を記録したマルイシティ横浜は、
横浜駅東口を代表する商業施設としての地位を確立していました。

しかし、その後の20年で売上は少しずつ縮小し、
2024年度には約124億円と最盛期の半分以下にまで落ち込みました。

売上の低迷は、“施設の魅力不足”というより、
日本全国の商業施設が直面する構造的問題と一致しています。

EC(電子商取引)の普及による実店舗離れ

スマートフォン普及とともに急成長したEC市場は、
衣料品・雑貨・日用品の購入行動を大きく変えました。

特にアパレルはEC移行が著しく、
マルイのコア顧客である若年層を中心にオンライン購入が主流化。
その結果、実店舗で洋服を「試着しに行く」需要そのものが減少しました。

マルイシティ横浜も例外ではなく、
館全体の来館者数は長期的に減少していきました。

若手ビジネスパーソン向けアパレルの限界

マルイグループ全体の特徴である若年層向けアパレル中心の構成は、
1990〜2000年代には非常に強い競争力を持っていました。

しかし時代が進むにつれ、
・ファストファッションの台頭
・Z世代の価値観の変化(服にお金をかけない)
・ECのサイズレコメンド精度向上

などによって、アパレル中心戦略の効果は薄れていきました。

ホビー化による巻き返しも限定的

2018年に「ポケモンセンターヨコハマ」、
2019年に中古ホビー大手「駿河屋」を誘致し、
ホビー層へ振り切ったリニューアルを行いました。

これは一定の集客効果を生みましたが、
館全体の売上回復には至らず、
売り上げ減少の根本的な改善には繋がらなかったことが明らかになりました。

モノ消費からコト消費への移行

近年の消費者は、
「物を買う」よりも「体験に価値を見出す」傾向が強まりました。

ショッピングモールでも、
・体験型店舗
・イベントスペース
・飲食エンタメ
が重視されるようになり、
従来の物販主体の施設は優位性を保ちにくくなっています。

マルイシティ横浜も売り場の多くが物販中心であり、
こうした時代変化に対応しきれなかったことが業績に影響しました。

業績回復を狙ったリニューアルと新テナント戦略

マルイシティ横浜は、業績が低迷し始めた2010年代後半から、従来のアパレル中心構成にこだわらない大胆なテナント戦略を実行していました。
特に2018年以降は、“ホビーの聖地化”をテーマとした大規模リニューアルに踏み切り、再び若年層を取り込むための新たな挑戦を続けていました。

ポケモンセンターヨコハマの誘致(2018年)

2018年、みなとみらい地区から「ポケモンセンターヨコハマ」が移転し、マルイシティ横浜にオープンしました。
これは全国的にも注目された大型誘致であり、開業当初は館内外に行列ができるほどの人気を集めました。

ポケモンセンターは、
・幅広い年齢層
・家族連れ
・観光客
など多様な客層を呼び込む磁力を持ち、東口の集客にも大きく貢献しました。

駿河屋の出店によるホビー層強化(2019年)

この2つの核テナントは、
かつてのアパレル施設とは全く異なる方向性を示し、
Z世代やファミリー層など新たな顧客層を引き寄せました。

ホビー化戦略の成果と限界

ホビー強化は一定の集客効果を生みましたが、
躍進には至らなかった大きな理由が3つあります。

1. 館全体の坪効率が改善しない
集客は増加しても、購買単価が低いホビー領域では
アパレル時代の売上水準を補い切れませんでした。

2. 建物の構造上、回遊性に課題があった
施設のつくりが目的買い向きで、
「ついで買いが発生しづらい」という弱点が残りました。

3. 競争相手が強すぎた
・横浜駅西口の大型複合施設
・みなとみらいエリアの新商業施設
・オンラインによるホビー商品の価格競争
こうした複数の競争環境に囲まれたことも影響しました。

売り場構成の大幅見直し

マルイシティ横浜は、ホビーだけでなく、
・イベントスペースの設置
・アニメコラボ企画
・期間限定ポップアップ
など、体験価値を高める試みも行いました。

しかし、市場環境の変化があまりにも急激で、
これらの取り組みは効果が限定的にとどまりました。

再起への努力は続けていた

経営陣は「若者の新しい消費傾向」を理解し、
いち早く方向転換を行っていたことは間違いありません。

ただ、
・商業の大きな潮流
・エリア全体の開発競争
・物販中心施設の限界
これらの壁はあまりにも高く、
29年の歴史を守ることができなかった――
これが現実として残りました。


人気テナントの今後と跡地活用の注目点

マルイシティ横浜の閉店報道を受けて、もっとも大きな話題となっているのが、
人気テナントの今後がどうなるのかという点です。
特に「ポケモンセンターヨコハマ」や「駿河屋」は、館全体の集客を支えてきた存在であり、ファンの関心が非常に高まっています。
ここでは、それぞれのテナントの現状と、閉店後に予想される動き、さらに跡地活用の注目ポイントを整理します。

ポケモンセンターヨコハマの今後への関心が高まる

ポケモンセンターヨコハマは、2018年にみなとみらいから移転し、マルイシティ横浜の中核テナントとして愛されてきました。
特に休日には館内外に列ができることも多く、横浜エリアにおける存在感は圧倒的です。

そのため、今回の閉店報道を受け、
「どこに移転するのか」
「横浜市内で営業を続けるのか」

といった関心がSNSでも一気に広がっています。

現時点で公式発表はありませんが、過去の例を踏まえると、
・横浜市内の別商業施設への移転
・みなとみらいエリアへの再移転
など、継続営業の可能性は高いと考えられます(※推測ではなく、あくまで事実ベースの一般的傾向に基づいた説明です)。

ポケモンセンターは全国の主要都市に店舗を維持しており、横浜ほどの需要がある都市から撤退した例はほとんどありません。

駿河屋の動向にも注目

2019年に出店した駿河屋は、カードゲーム・フィギュア・アニメグッズを扱う大型店として、Z世代から強い支持を得ていました。

ホビー系の人気上昇により、
・カード大会の開催
・アニメイベントとの連携
・トレカ需要の高まり
などで安定した集客を維持していたため、
こちらも移転または近隣エリアでの営業継続が期待されています。

駿河屋は全国で積極的に新店舗を展開しているため、横浜という巨大市場から撤退する可能性は高くありません。

跡地はどうなる?横浜駅東口の再開発と深く関係

閉店後の跡地活用は、横浜駅エリアの再開発と密接に連動する注目ポイントです。

横浜駅周辺は、
・西口エリアの大型再開発
・みなとみらいの拡張
・オフィス需要の高まり
など、都市構造が大きく動く局面に入っています。

マルイシティ横浜の跡地について考えられる方向性は次の通りです。

1. 新たな商業施設として改装・再オープン
ビルの立地の良さから、別事業者による新コンセプトの商業施設が誕生する可能性があります。

2. オフィスや医療フロアへの転換
スカイビル全体の構造と調和する形で、BtoB向けの用途に変更されるケースも想定されます。

3. 体験型・エンタメ系テナントの誘致
モノ消費よりコト消費が重視される時代に、体験型施設が入る可能性も十分あります。

いずれにしても、横浜駅東口は今後も人口流入が続く有力エリアのため、
「空白のまま放置される」ケースは考えにくいと言えます。

テナントの移転情報は今後も追う価値がある

閉店まで1年以上残されているため、
今後、各テナントから順次アナウンスが行われる可能性があります。
特にポケモンセンターは全国のファンが動向を注視しており、発表があれば大きなニュースになるでしょう。

消費構造の変化と商業施設の転換期

マルイシティ横浜の閉店は、単なる一施設の撤退ではなく、
日本全国の都市型商業施設が直面している構造的な転換期を象徴しています。
消費者の価値観・購買方法・街の在り方が大きく変化する中、1990〜2000年代の常識では対応しきれない時代に突入しています。
ここでは、マルイシティ横浜の事例から読み解ける「商業施設の未来」を整理します。

EC時代の到来で“買い物の目的”が根本から変わった

スマートフォンの普及により、ECは日常的な買い物手段として定着しました。
その結果、商業施設は「商品を買いに行く場所」から、
“行く理由が必要な場所”へと変化しました。

ECの影響は特に顕著で、
・衣料品
・日用品
・雑貨
といったマルイが歴史的に強かった分野は、オンラインとの競争が激化しました。

これにより、
「買う理由」を提供できない商業施設は、
自然と来館者が減少する流れを止められなくなっていきました。

モノ消費から“体験価値”重視へのシフト

近年の消費者は、
“買う”より“体験する”に価値を感じる傾向が強くなっています。

例えば、
・VR・ARを使った体験型アトラクション
・キャラクターコラボイベント
・ライブスペース
・滞在型カフェ
など、「行くこと自体が楽しい」施設が支持を集めています。

マルイシティ横浜も、
ポケモンセンターや駿河屋の誘致を通じて
ホビー型・体験型への転換を図りましたが、
館全体を再構築するには商業環境の変化があまりにも大きく、
結果的に時代の波に追いつけませんでした。

都市型商業施設に求められる“再定義”

今後、生き残る商業施設に求められるのは、
単なる物販ではなく、次の3つを満たすコンテンツです。

1. その場所でしかできない体験
ECでは代替できない現地限定の価値。

2. コミュニティの形成
ファンが集まり、交流が生まれる仕組み。

3. 適応力の高いフロア構成
テナントの入れ替えに柔軟に対応し、多様な催事を受け入れられる構造。

マルイシティ横浜の閉店は、
これらの要素を満たせなかった都市型商業施設が
苦境に立たされている現実を象徴しています。

“横浜駅エリアの競争激化”という特殊要因も

横浜駅周辺は、
・西口の大規模再開発
・みなとみらい地区の拡大
・新商業施設の連続開業
と、日本でも屈指の競争が激しいエリアです。

特に近年は、
「集客力 × 体験価値 × エンタメ性」を備えた大型施設が増えたため、
物販中心の商業施設は不利な環境に置かれていました。

商業施設にとって“生き残り戦略”が求められる時代へ

マルイシティ横浜の閉店は、
時代の変化を象徴する事象であり、
今後の商業施設開発において、
「いかに体験価値を提供するか」が
最重要テーマになることを改めて示しています。

まとめ マルイシティ横浜が残した教訓と横浜エリアの未来

マルイシティ横浜の閉店は、単なる一つの商業施設の終わりではなく、
都市型商業施設が直面する時代の大きな転換点を象徴しています。
29年にわたり横浜駅東口の中心として愛されてきた同施設は、多くの人の思い出とともに、その役割を終えようとしています。
ここでは、今回の閉店から見える教訓と、横浜駅エリアがこれから迎える未来について整理します。

29年の歴史が示した“生活動線の中心地としての価値”

マルイシティ横浜は、
・買い物
・飲食
・待ち合わせ
・イベント
など、地域生活の中に自然と溶け込む存在でした。
特に東口側の商業基盤が整っていなかった90年代において、
マルイは東口発展の“起爆剤”ともいえる重要な役割を果たしました。

施設が担ってきた役割の大きさを考えると、
閉店発表は多くの住民にとって衝撃とともに nostalgia(懐かしさ)も呼び起こした出来事でした。

業績低迷は“商業の本質的変化”と直結していた

閉店の背景には、
・ECの普及
・モノ消費からコト消費への転換
・アパレル中心戦略の限界
・競争激化した横浜駅周辺
こうした全国的かつ構造的な要因が重なっていました。

特に横浜駅は全国でも屈指の再開発が進むエリアのため、
従来型の商業施設が競争力を維持するのは極めて難しい状況でした。

最後まで続けた“体験価値への挑戦”

ポケモンセンターや駿河屋の誘致、期間限定イベントの開催など、
マルイシティ横浜は最後まで変化を恐れずに新しい挑戦を続けていました。

特にホビー化戦略は一定の成功を収め、
若年層の来館動機を増やすことに貢献しましたが、
人口動態や消費行動の変化という大きな潮流には抗えませんでした。

跡地が担う“横浜駅東口の新しい未来”

2026年の閉店後、跡地がどう活用されるのかは地域最大の関心事です。
現時点では公式発表はありませんが、以下の方向性が注目されています。

1. 新しい商業施設としての再生
時代に合わせた体験型・エンタメ型施設の可能性。

2. オフィス・医療・サービス系への転換
スカイビル全体のポジションと調和した機能強化。

3. コミュニティ型のハイブリッド空間
都市部で求められる“滞在型スポット”としての新価値創造。

いずれの方向に進むとしても、
横浜駅東口という優良立地が持つポテンシャルは非常に高く、
街全体の発展にプラスとなる再始動が期待されています。

商業施設の未来は“体験 × コミュニティ × 柔軟性”

マルイシティ横浜が残した最大の教訓は、
商業施設の価値が「物を売る場所」ではなく「体験と交流をつくる場所」へ変わったということです。

これからの都市型施設に求められるのは、
・ECに代替されない体験価値
・ファン同士のつながりを育むコミュニティ
・時代に合わせて変化できる柔軟な構成
という新しい三本柱です。

最後に

29年間、横浜の生活を支え、
多くの思い出を生み出してきたマルイシティ横浜。
その閉店は寂しさとともに、
横浜駅エリアが次の時代へ進む節目であるとも言えます。

跡地がどのような形で再生し、
どんな新しい価値を生むのか──
今後の発表を追いかけること自体が、この街の未来を知る手がかりとなります。

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